- 自分のわがままを聞いてほしい
- 過去の恋愛の失敗を引きずっている
- 相手に嫌われていると感じている
- 自信がない
- 面倒くさい
- 抵抗したくなる
- 寂しさを感じる
- 愛情を感じてうれしい
- 愛情を示すチャンスと捉える
- 束縛されることで何を感じるか説明する
- 束縛されていると感じると伝える
- 愛情を伝える
- いったん距離を取る
- コミュニケーションを増やす
- 仕事や人間関係で我慢しすぎているならやめてみる
- 自分の不安や不満を解消できる場所を作る
- 恋人関係以外でも自分を満たしていく
つい恋人を束縛し、「相手に嫌われてしまうかも」とさらに不安になったりしたことはありませんか?あるいは、自分自身が束縛されて、苦しいと感じている人もいるかもしれません。そんな時は、束縛する心理を知ることが打開策になります。そこで、心理カウンセラーの桑野 量さんに、束縛の原因や対処法についてお話を伺いました。束縛なしでいいパートナーシップを築く秘訣をチェックしてくださいね。
別れにつながる束縛行動とは?
恋人が異性と会わないように仕向けるといったわかりやすい束縛以外にも、実は意外な行動が、相手を知らず知らずのうちに縛っているということがあります。
ここでは、ふたりの関係性にネガティブな影響をもたらす可能性のある、束縛に該当する行動を挙げていきます。
相手の行動を制限する
相手の行動を制限するのは、一番わかりやすい束縛です。「異性のいる飲み会に行ってはいけない」「異性の連絡先は消してほしい」などといった例です。
自分にとって当たり前に思うことが、相手には当てはまらないこともあり、強要すれば束縛になってしまいます。
相手の行動を細かく確認する
例えば「今日はどこに行って何をしていたの?」「飲み会では誰と何を話したの?」などと聞いて、相手の行動をチェックしすぎるのも束縛になります。
相手が自発的に話してくれるようなら問題ありませんが、答えないといけないような雰囲気の中、まるで尋問しているかのようになると、相手を知らず知らずに縛ることになります。
ルールが多い
「恋人だったら普通こうするよね」と、ふたりの間で決まり事を作りすぎるのも一つの束縛です。「週に1度は必ず電話する!」といったようなことも、ルール化すると義務感を生じさせます。
例えば電話も、ルールがなくても自然にできればそれに越したことはありませんよね。「行動を制限する」束縛とは異なりお互いにとって良かれと思って決めたことでも、結果的に相手を束縛している状態になってしまいます。
ダメ出しをする
「あなたのこういうところ、もっとこうした方がいいよね」とダメ出しや説教をする時、相手を思い通りにしたいというコントロールの欲求がひそんでいます。
ダメ出しされ続けると、次第に萎縮するようになり、自主的な行動や自由な振る舞いができなくなる可能性も。ちなみに、相手がしてくれた家事に満足せず、やり直したりするのも、ダメ出しに当たります。
ネガティブな感情ばかり伝える
自分のネガティブな感情ばかり伝えることも、ダメ出しと同じく相手へのコントロールとなります。自分が感じている不安や悲しさで相手に罪悪感を与え、自分の思い通りにコントロールしようとしていると考えられます。
自分が被害者のようなポジションでいることは、恋人を加害者として扱うことになります。そのような関係では相手も息苦しさを感じるでしょう。
嫉妬する
嫉妬は時に恋愛関係を刺激するスパイスにもなり得ますが、気持ちの伝え方がカギになります。
「今、通り過ぎた女の人を見てたでしょ!あり得ない!」というように、怒りや不安を込めて伝えると、束縛になってしまいます。「私だけ見てほしいな」など、ネガティブな言葉を使わずに伝えてみましょう。
恋人を束縛してしまう心理
相手を他の人に奪われたくないという独占欲だけで束縛してしまうケースもありますが、実はそれはまれなこと。
相手を縛ってしまう裏側には、さまざまな過去の経験や心理が影響しています。詳しく見ていきましょう。
自分のわがままを聞いてほしい
もともと自分の欲求や期待通りに相手が動いていることで、愛情を感じるタイプの人は、自分の思い通りにしたいという欲求で相手を束縛します。
また、恋愛以外の人関係で我慢をしているあまり、心の距離の近い恋人だけに甘えや依存が強く出てしまう人も、ふだん抑えているニーズを満たすため、束縛することがあります。
過去の恋愛の失敗を引きずっている
例えば、昔の恋人が飲み会で出会った人と浮気をしていたという経験があれば、現在の恋人が飲み会に行くことに不安を感じてしまう人もいます。
その結果、異性がいる飲み会への参加をやめてもらったり、すぐに連絡が取れるように強要してしまったりすることも。過去の経験を引きずっていると、その時と同じような心の痛みを回避するために、相手の行動を制限して束縛してしまいます。
相手に嫌われていると感じている
恋人と自分の愛情の温度差や、相手は自分を嫌っているのではないかという不安を感じてしまう時、束縛して相手を困らせ、自ら関係性を悪化させようとすることがあります。
心は自分が感じていることを、起きている事実によって証明しようと働く性質があります。例えば、「私が相手を好きなほど、相手は私を好きではないんだ」「やっぱり嫌われている」と思っていると、相手を束縛した結果嫌がられるという事実を無意識のうちに作り出し、「ほら、やっぱり私のこと嫌っているじゃない」と、自分の不安の証拠にしてしまうのです。
また、破局するような自分たちの関係に心のどこかで気づいていると、束縛することで危うい関係性を露呈させるという行動をしてしまうこともあります。
自信がない
自分に自信がないと、「こんな自分だといつか相手は離れてしまうかも」と不安になって、相手を束縛することがあります。「どれだけ私の言うことを聴いてくれるんだろう」と、愛情を確認する一つの方法にしているのです。
一方、あまりに自信がなく不安の大きい人は、束縛することで嫌われることを恐れ、束縛すらできない状態であることも。つまり、束縛しているということは、自信がない中にもどこかに、「私は嫌われてないはず」「相手は言うことを聞いてくれる」と期待があるとも言えます。
恋人から束縛される側の心理
自分が束縛をしてしまうと、相手がどんな感情を抱くか気になりますよね。きっとあまりよくないことなんだろうなと漠然と不安になるよりも、受け取る側の思いをわかっておいた方がいい抑制になるはず。ぜひチェックしてみてくださいね。
面倒くさい
束縛された側の最も多く抱きがちな感情が「面倒くさい」。俗にいう「重い」といわれる感情です。
人はルールや制限が多いほど、辛くなります。すると、他のところで解放されたい欲求が生まれていきます。そんな時、「あなたには自分よりもふさわしい人がいる」といった言い方をする人もいますが、その言葉の裏には、「面倒くさい」という感情があるようです。
抵抗したくなる
束縛された側は我慢を強いられるため、いつしか限界が来て反発心を抱くようになることも。すると、言い合いになったり、ふたりの間のルールを破ったりするようになります。
寂しさを感じる
どんなに相手を愛しても受け取ってもらえない、どんなに頑張っても認めてもらえない気持ちがして、寂しさを感じる人もいます。その場合、束縛されればされるほど気持ちが通じ合っていないと感じるようになります。
自分は必要とされていない、役に立てていないと感じ、場合によっては別れを選ぶという結果になることもあります。
愛情を感じてうれしい
自分自身が束縛を愛情表現だと感じている人は、愛されてうれしいと感じます。こういったケースでは、相手が束縛する側になることも少なくありません。
愛情を示すチャンスと捉える
相手の束縛を期待と捉え、自分の愛情を表現する機会にする人も。たとえていうなら、かぐや姫の愛を勝ち取ろうとする男性たち。無理難題を言われても、それを乗り越えることが愛情の証明だと感じる心理です。
恋人の束縛が重いときの対処法
もし相手の束縛がとても重いと感じているならば、何かしら対処して自分の心を守ってあげましょう。そのために有効な方法をご紹介します。
束縛されることで何を感じるか説明する
これは、相手が束縛=愛情表現と捉えているケースにおける対処法です。
この場合、もしこちらが相手の束縛を息苦しいと思っていても、当の本人には自覚がありません。そのため、丁寧に冷静に、自分は束縛されることでどんな思いになるか、説明する必要があります。
交際当初は相手の気持ちに応えたいという思いで我慢しがちですが、できるだけ早い段階で伝えるのがポイント。「え?我慢していたの?」と相手も今までの思いが無駄になってしまったような残念な気持ちになってしまうためです。
束縛されていると感じると伝える
例えば、相手は束縛するつもりがなくても、自分にとっては束縛と感じるようなこともあります。例えば、「朝起きたらLINEしてね」という約束を、束縛と感じる人もいれば、全く感じないという人もいます。
こんな行き違いが後々負担になっていき、ふたりの関係にネガティブな影響を与える可能性もあります。だからこそ、「それは私にとっては、束縛に感じてしまう」ということを正直に伝える必要があります。
愛情を伝える
相手が不安から束縛している場合、愛情を伝えることで相手が安心感を覚えて束縛を緩めることがあります。
一方、愛情を伝えることでより、「愛しているなら、こうしてくれるのが普通でしょ!」といったように、より束縛が強くなる人がいるのも事実です。その場合は、「愛していてもできないことがある、だからといって嫌いなわけではない」と、きっぱり伝えることも大切です。
いったん距離を取る
束縛する、される関係であるというのは、それだけ心の距離が近いということ。子どもが、他の人には言えないけれどお母さんにはわがままを言うのと同じような距離感ということです。
心の距離が近すぎると関係性を修正するのはなかなか難しいもの。客観的に見つめ直すには、少しだけ距離を取ってみることが時に有効です。一緒にいる時間を短くしてみるなど、トライしてみましょう。
もしそのまま別れてしまうことになっても、その恋愛は遅かれ早かれそうなる関係だったということです。
恋人の負担になるほど束縛しないためにできること
本当は束縛なんてしたくない、相手に負担をかけたくないと思い悩む人も多いでしょう。しかし、自分の感情はままならない時もあります。束縛になる前に、次のような方法で、気持ちを和らげてみてはいかがでしょう。
コミュニケーションを増やす
ルールや制限を作りたくなるのは、ふたりのコミュニケーションが足りていないと感じているからかもしれません。
自分が感じていることや相手が考えていることを、共有し合ったり誤解を修正したりすることができないので、行動を制限し、ルールを設けることで、気持ちを確認せざるを得ないのです。
丁寧に思ったことを伝え合い、理解し合えば、たとえ過去の恋愛の失敗を引きずっていても、現在の恋愛と過去の恋愛は違うということをしみじみ感じられるはず。気持ちを伝え合うコミュニケーションは、安心感をもたらします。
仕事や人間関係で我慢しすぎているならやめてみる
仕事や人間関係でずっと我慢し、心を許した恋人の前だけではわがままになってしまうという人もいます。
日常生活や仕事で我慢したり、頑張りすぎていることがストレスになり、心を許している恋人へのわがままが、束縛という形になっているのかもしれません。
恋人の負担を減らすためにも、同僚や家族、友人など、頼る相手を増やし、少しずつ甘える練習をしてみましょう。
自分の不安や不満を解消できる場所を作る
自分の不安を解消してくれるのは恋人だけと思っていると、どんどん依存し束縛も過剰になります。
自分の不安を解消できる場所や相手が他にもあれば、恋人に依存しすぎることもなくなっていきます。自分の気持ちを相談できる相手、気持ちを吐き出せる場所を探してみましょう。
恋人関係以外でも自分を満たしていく
恋人と過ごす以外でも、自分を満たす時間があれば、心に余裕が生まれます。趣味を見つける、友達と過ごす、ずっとやりたかったことにチャレンジするなど、恋人以外に自分を充実させる時間をつくっていきましょう。
つらい時や不安な時というのは、過去の傷や未来への不安に捉われているということ。自分を満たす時間は、「今、この瞬間に集中できる状態」とも言えます。
自然に触れて、香りや風を感じたり、趣味に没頭したり。ぜひそんな瞬間を増やして、「今」を大切にしていきましょう。
束縛の心理の裏にある不安を解消することが大切
この記事を読み、改めて「束縛をやめなくては!」と思うかもしれませんが、禁止や我慢は欲求を大きくさせることがあります。また、束縛する側だけに原因があるわけではありません。だからこそ、すぐにやめようとするよりも、束縛したくなってしまう心理的な原因を解消していくことが先決です。
そのためには、自分が感じていること、そして相手の気持ちを理解し、伝え合うことが何より大切。ふたりの中で愛情を実感し合い、信頼できていれば、束縛する必要もされる必要もありません。束縛をしている、されていると感じたら、お互いの幸せについて考えるきっかけにしてみてくださいね。
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取材・文/小松ななえ
【監修】
桑野 量さん
カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー。心理学ワークショップの講師も務める。自身も18歳のときにカウンセリングに出会い、カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービスで学び、2018年から心理カウンセラーとして活動。「楽にシンプルに自分らしく生きる」をテーマに、現在抱えている問題や不安に対し、その人の魅力や才能が輝き出すような提案やサポートを行う。恋愛やビジネスにおける心理学的なアプローチと実践的なアドバイスには定評があり、その人柄を生かした温かく優しいカウンセリングが好評。
オフィシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/cs_ryokuwano/
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