“自然消滅”とは。いつ判断すればいい？相手の気持ちは？連絡がないときの対処法も

「自然消滅」とは、主に恋愛関係において「別れよう」など明確な意思表示のないまま、関係が終了してしまうことです。別れのタイミングがはっきりしないため、残された方は「本当に関係が終わってしまったのだろうか」という不安な気持ちに陥ってしまいます。

また、自然消滅への恐れを抱いている場合は、交際中であっても「連絡が途絶えたら関係が終わってしまうかも」と心配になります。一方で「こちらから連絡し過ぎると、“気持ちが重い”と思われそう」という不安も膨らみ、どうすればよいか迷ってしまうかもしれません。

※出典：マクロミルアンケート

恋愛において自然消滅を経験した人は男女合わせて約４割、という結果でした。逆に言えば約６割は「自然消滅の経験がない」ということでもあります。

通常、別れ方があいまいな状況においてまず「次にすすむために、まずは関係性をはっきりさせなくては」と考えます。その点で、別れのタイミングが曖昧な自然消滅を、多くの人が「理想的な関係の終わらせ方ではない」とらえ、避けているといえるでしょう。

自然消滅の場合、「別れる」という相手の意志を明示されないままで関係が終了します。そのため残された一方は「どこで“自然消滅”してしまったか」を、なかなか認識しにくいのではないでしょうか。

ここでは相手と音信不通になってから、どのぐらいの期間で自然消滅であると認識するかについて聞いてみました。

Q.どのくらいの期間連絡を取らなければ「自然消滅した」と判断しますか？

※出典：マクロミルアンケート

4割強の人が「２～３カ月程度」、3割の人が「半月～１カ月程度」と回答しています。相手の仕事内容や環境によって「このぐらいの期間、連絡がこないことはあり得る」という基準は異なるでしょうし、これまでの連絡頻度と比べてどうか、というあたりからも判断は変わってくるでしょう。

次に「連絡は取っているが、会えていない」ふたりの場合はどうでしょう。

※出典：マクロミルアンケート

７割近くの人が「会えなくても、連絡が取れていれば大丈夫」と判断するようです。遠距離恋愛など「会いたいときに会えない」という状況にあっても、連絡を取り合うことで関係維持は可能だといえそうですね。逆にいえば多くの人が「連絡を取らない」ことの先に関係終了があると考えている、とも取れそうです。

交際相手が自然消滅を狙っている場合、そこにはどんな理由があるのでしょうか。次では自然消滅の裏に隠された、相手の心理について考えていきます。

自分から別れを告げることにストレスがある
「別れを告げること」にネガティブなイメージを強く持っている場合、自分から別れを告げずに自然消滅を狙うことがあります。

「自分が悪者になりたくない」「シリアスな状況に対峙（たいじ）したくない」という、“逃げの姿勢”である場合もあれば、過去の恋愛で別れを告げたときに「相手が過剰にヒステリックになった」「泣かれて大変な思いをした」など、トラウマ的な経験から「別れを告げる」という決定的なシーンを避けているケースもあります。

「思っていたのとなんだか違う」と違和感を覚えている
特に恋愛初期である場合、「最初の印象と実像とがかけ離れていた」「嫌な部分が見えてきてしまった」「自分とは価値観が合わないと思った」など、自分が思い描いていた相手像と異なる部分が見えてきて「なかったことにしよう」とリセットする心理が働いている可能性があります。

特にマッチングアプリなどを通じた出会いの場合、共通の知人がいないことが大半であるため、音信不通にすることで関係を切ろうとします。

「ほかに好きな人ができた」など後ろめたい事情がある
これは「別れたい本当の理由を相手に告げると傷つけてしまうかも」という思いから、少しずつ距離を取るケースです。

ほかに好きな人がいる場合、既に関心は次の相手に向いていて、逆にこれまでのパートナーとの交流に罪悪感を覚えているのかもしれません。後ろめたさから、確実にハードになるであろう場面を回避し、できるだけ波風を立てずに終わらせたいと考えている可能性が考えられます。

気持ちが冷め「どうでもよい」と思っている
ある程度恋愛期間を経た後で「気持ちが冷めてきた」という場合、「その事実を察してほしい」と、デートの回数を減らしたり連絡頻度を少なくしたりする可能性も考えられます。

愛情の薄れと比例してあなたに対する思いやりも薄れ、一般に“誠意がない”とされる自然消滅による関係終了を選択するのかもしれません。気持ちが冷める裏には「夢中になれる趣味ができた」「仕事にやりがいを感じ始めた」など、恋愛以外の興味関心ができた可能性も考えられます。

仮に相手が自然消滅を意図している場合、それはどんな態度から読み取ることができるのでしょうか。ここでは「自然消滅のサイン」として考えられる、相手の行動や態度について見ていきます。

返信が遅くなった

交際相手に対して愛情や興味がなくなってくると「相手のことを知りたい」「自分のことを知ってもらいたい」という気持ちが薄れ、LINEなどを介したコミュニケーションを面倒と感じがちになります。相手を尊重する気持ちも薄れるため返信の優先順位が下がり、ついつい後回しにされてしまうこともあるかもしれません。

リアクションが淡白になった

仮にデートを義務的に感じてしまっている場合、この場を早く切り上げるためリアクションが淡白になりがちです。同時に相手の話に興味が持てなくなるのでポジティブな返答も減ってきます。相手の話に質問をしたり、そこから話を広げたりする意欲が薄く、相づちも「へー」「そうなんだ」などひと言だけになることもあります。

こちらの話や約束を覚えていない

「相手のことを知りたい」という気持ちがなくなってくると、会話もつい聞き流しがちになります。話の内容を覚えていないことが頻発したり、記念日や約束を忘れがちになったりするかもしれません。また存在の重要度が下がってくると、仮に約束を覚えていても「別の予定が入った」など、ドタキャンされることもあるかもしれません。

会っているときつまらなそうにしている

交際中の相手以外に興味が移ってしまっている場合、デートしていても楽しいと感じられず、目の前の相手以外のことを考えがちになります。その場合、一緒にいる時間を「義務」と捉え、ただ時間が過ぎるのを待っているだけなので、明らかにつまらなそうな様子に見えるでしょう。

デートの頻度が減った、予定を先延ばしにされる

ほかに優先させたいことができると、デートに対するモチベーションが上がらず、いろいろな理由をつけてデートを先延ばしにしようとする心理が働きます。特に「疲れているから」「めんどくさい」という、“気の持ちよう”でクリアできそうな理由でデートを延期されたときは要注意です。

「自然消滅をしたい」と思っているわけではなく、単に連絡がしにくくなっている可能性もあることを忘れないようにしましょう。

特に自分に自信が持てないタイプの場合、ささいなことで「嫌われたのかもしれない」と感じ、傷つかないように自ら連絡を取ることを控えているケースもあり得ます。しばらく連絡が取れない事情があり、音信不通の期間が長くなってしまった場合などはこの点にも留意しましょう。

「最近相手からの連絡が途絶えがち。このままフェードアウトされてしまいそうだけど、自分は関係を維持したい」。その場合、自然消滅を回避するためにどんな方法があるでしょうか。

頻繁に連絡をし過ぎない

連絡の回数が目に見えて減ると、誰でも不安になりますよね。その場合「相手の気持ちを確認したい」と、ついこちらから過剰に連絡を取ろうとしてしまいがちです。しかしあまりに頻繁だと「気持ちが重い」と取られる可能性もありますので気を付けましょう。

また「今何してた？」など相手の行動を確認するLINEや長文のLINE、ネガティブな内容のLINEも相手にプレッシャーを与えます。もしかしたら仕事が忙しいなど、何か特別な事情があるのかもしれません。まずは相手を気遣うメッセージを送り、相手からの反応を待ちましょう。

ふたりの関係を見直す

万が一、相手が自分と連絡を取りたくないと考えている可能性があるならば、その理由を一度落ち着いて考えてみましょう。

例えば「返信しにくいメッセージを送っていなかったか」「プレッシャーを与えていなかったか」「折に触れ、相手への感謝や愛情を伝えていたか」「頼ってばかりで相手を疲れさせていなかったか」「相手の愛情にあぐらをかいていなかったか」など。もし思い当たる節があれば、ふたりの関係やコミュニケーションを見直す良いチャンスと捉え、関係を維持するために何ができるかを、あらためて考えるきっかけにしましょう。

自分を見つめる時間にする

「相手から関係を切られるかもしれない」という状況では、つい相手のことばかり考えてしまいがちになります。しかしこういうときこそ自分自身を見つめ直す時間にしましょう。

心理学的には、自分が心の内に抱いている心理的な要素を、周りの人の中に見ようとする心の働きを「投影」といいます。相手から連絡が減り「大切に扱ってもらえない」と感じたのだとしたら、実は自分自身を大切に扱っていないということでもあるのです。

問題が起きた場合は自分ばかりを責めるのではなく、まず自分を大切にすること。そこから相手との関係を客観的に考えられるようになるかもしれません。

そして一度「今の状況はなぜ生まれたのか」「自分はどんなパートナーシップを築きたいのか」など、自分の内面と向き合う時間を意識して設けてみましょう。

自分磨きの時間にする

先に触れたように、自然消滅の裏には「愛情の薄れ」や「飽き」が隠れているケースも少なくありません。そこで次に相手に会ったときに新鮮な印象を与えられるよう、自分磨きをしましょう。新しい学びを始めたり、人間的に成長できる領域に挑戦したりするのもいいですし、ファッションやメイク、しぐさを見直すなど、外見を磨く時間を設けてみてもいいでしょう。新しい自分と出合うことで考え方も変わり、そこから相手との関係も変わってくるかもしれません。

もし自然消滅してしまいそうな場合、相手との関係がネガティブな方向に進んでいないかを一度見直してみましょう。例えばお互いの考え方が異なる場合は、一度しっかりと話し合う機会を設けてみることをおすすめします。その結果、「距離を置く」などいったん関係を棚上げすることになった場合も、離れている時間を投げやりにならず過ごすことが大切です。

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取材・文／吉田美奈子

【監修】
竹内えつこさん
心理カウンセラー。大学時代に心理学を学び、卒業後はバーテンダー、アロマセラピスト、アロマ講師、カウンセラーという、異色の職歴を持つ。得意なジャンルはパートナーシップ・人間関係。現実的かつ理論的なアドバイスに定評があり、悩みを抱えている多くの女性たちから支持を得ている。東京・恵比寿にカウンセリングルームを持ち、対面、オンラインでのカウンセリングを行っている。
公式ブログ：https://counseling-sou.com/blog/

【データ出典】
マクロミルアンケート
・ご自身に関するアンケート
調査期間：2022/10/19～2022/10/21
有効回答数：330人※165人（男性）165人（女性）
（インターネットによる20～40代向け男女アンケート調査　調査機関：マクロミル）