【医師監修】恋愛ホルモンは男性・女性にどう影響する？ホルモン分泌と恋愛の関連性とは

誰かに恋すると、いつも通る道が色鮮やかに見えたり、気持ちがルンルン弾んだり、仕事にもやる気が出たり……、その一方でなんだか胸がいっぱいになって一喜一憂したり……。そんな経験をしたという人も多いでしょう。「恋するとキレイになる」といったように、恋はホルモンの影響があるという話もよく聞きますが、果たして実際はどうなのでしょう。精神科医のゆうきゆう先生の監修の下、ホルモンが恋愛にどんな影響を与えるか、解説します。

まず、ホルモンとは何なのでしょうか。ホルモンとは、私たちが何か感じたり、体の感覚が刺激を受けたりすることによって、脳などの体内で分泌される情報伝達物質全般のことを言います。

ホルモンは生命や健康状態、成長や生殖機能を維持するために作用するもので、体のさまざまな器官の働きを調整します。骨や筋肉の成長や血圧、消化などもホルモンの影響を受けているのです。

そして、私たちが恋をするときも、ホルモンの働きが関わっています。誰かに恋心を抱いたときは、フェニルエチルアミン（PEA）というホルモンが分泌されるといわれています。フェニルエチルアミンがどのように影響するのか、次から詳しく見ていきましょう。

フェニルエチルアミン（PEA）は“恋愛ホルモン”とも呼ばれており、ドーパミンやノルアドレナリンというホルモンの放出を促すといわれています。これらのホルモンは特に男女差はありません。これらのホルモンは特に男女差はありません。

ドーパミンとは

ドーパミンは“快楽”をつかさどる働きがあり、分泌されると、楽しい、嬉しいといった感情になり、集中力がアップ。物事に意欲的になったりポジティブな気分になったりという、心の状態をもたらします。

また、何か我慢をしなければならないときに、ドーパミンが分泌されることによって少しだけ脳を気持ち良くさせることで、我慢が続けられるようになるという効果も期待できます。

ノルアドレナリンとは

ノルアドレナリンは、ひと言で言うと“興奮”をつかさどるホルモンです。不安や恐怖といったストレスがあったときに、耐性ができ、積極性な行動ができるように作用します。適度な分泌によって、やる気や集中力アップへとつながります。

こういったドーパミンやノルアドレナリンの働きによって意欲がアップし行動的になることで、好きな相手へのアプローチがしやすくなります。

日常生活への影響

相手に話しかけたり、デートに誘ったりするときは、勇気が必要です。さらには、相手の反応に一喜一憂したり、時には我慢強く待ったり、どうしたら振り向いてもらえるか考えたり努力をしたりすることも求められます。そんなときにドーパミンやノルアドレナリンが後押ししてくれるのです。

日常生活においても、行動力が高まることで、美容室へ行く頻度がアップしたり、筋トレを始めたり、メイクを変えてみたり、新しいファッションにチャレンジしたり、自分を磨くことへも意欲的になるでしょう。その結果、より魅力的な自分になれるので、恋愛がうまくいく可能性も高まるのです。

ノルアドレナリンやドーパミンは、恋愛面だけでなく仕事や趣味にも影響します。仕事で大変なプロジェクトに直面したり、人間関係でストレスを感じても、恋愛をしていないときに比べて、それなりに耐えやすくなったり、問題解決や企画を推進するといった方向へ行動力がアップします。

生き生きと頑張る姿は異性にも魅力的に見え、恋愛にもさらにいい影響をもたらす効果が期待できます。

ところで男性ホルモンや女性ホルモンは恋愛に影響するものなのでしょうか。

男性ホルモンと言えば「テストステロン」、女性ホルモンと言えば「エストロゲン」が挙げられますが、恋愛感情を抱いたからといって、これらの分泌が増えることはありません。

どちらも年齢によってだいたいの分泌量が決まっており、女性ホルモンは月の周期に影響を受けることが多く、心理状態が分泌量に影響することはあまりないと考えていいでしょう。

もし、恋愛関係への関与があるとするなら、「テストステロン」の影響が考えられます。テストステロンは骨や筋肉をつくる働きがあります。そのため、分泌が多いほど、たくましい体つきになります。

また、身体的な面だけではなく、心理的な面や行動にも大きな影響を与えます。決断力や行動力、チャレンジ精神、冒険心といった精神状態にもテストステロンは大きく関与しているのです。

テストステロンによって行動力やチャレンジ精神が高まるため、仕事にも意欲を持って取り組むことで結果的に成功しやすくなります。また恋愛においても、好意を持った相手へのアプローチにも積極的になるでしょう。

よく「英雄色を好む」といわれます。これは、知力、武勇に優れた才能豊かな人は恋愛も積極的であることを意味しますが、実際には、「英雄だから色を好む」わけではないのです。テストステロンが高いとさまざまなジャンルで成功して英雄になりやすく、さらには異性を含めた周囲にもてはやされることで、恋愛面においてもモテやすくなり、結果的に「色を好む」という構造になると考えられます。

ちなみに、女性にもテストステロンは分泌されますが、男性に比べてとても少ない分泌量となります。

恋愛感情を抱くことで日々の生活や心持ちまで変化することには、ホルモンが影響している可能性が考えられます。実際には本来のその人の資質や性格なども影響し、みんな全く同じように作用するわけではありませんが、恋愛することで、仕事や日常への張り合いがアップしたり、自分磨きへの意欲が湧いたりすることにもつながっていくはずです。

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取材・文／小松ななえ

【監修】
ゆうきゆうさん
ゆうメンタルクリニックグループ総院長。東京大学医学部医学科卒業。医師業のほか、メールマガジン「セクシー心理学」の発行などマンガ原作者としての発信にも多くのフォロワーの支持を集める。『マンガで分かる心療内科』シリーズ（少年画報社）、『相手の心を絶対に離さない心理術』（海竜社）など著書も多数。
ゆうメンタルクリニックホームページ：https://yucl.net/