- “親密さ”を求める「好き」
- “フレンドシップ”としての「好き」
- “個人的な好み”という意味での「好き」
- “憧れ”や“羨望”としての「好き」
- “相手に性的な魅力を感じる”という意味での「好き」
- ストレスをためやすい環境にいて普段から我慢が多い状態
- 人を好きになることに抵抗感を抱きやすい状態
- あらゆる物事や人を見るとき先に欠点へ目がいく状態
- 人を好きになることは迷惑・悪いことだと感じてしまう状態
- 人に対する興味が薄い状態
- それでも判断に迷ったらトライしたい3つのこと
- 会う(話す)回数を増やす
- 普段も告白時も、「やりとりの最後」にいい印象を残す
- ふたりだけで過ごす時間をつくる
- 真剣な話ができる間柄になっておく
「好き」とはどんな気持ちなのでしょうか?誰か気になる存在ができたとき、恋愛として好きなのかわからないとき、自分の感情の意味や恋の正体が知りたくなりませんか?そこで、「好き」という感情の心理的な見解をカウンセラー浅野寿和さんに聞いてみました。「好き」の言葉の意味や相手を「好きかわからない」ときの心理状態や判断ポイントなど具体的なアドバイスもご紹介します。
「好き」とは何?その言葉の意味とは?
「“好き“とは、気に入ること。心惹かれること」が、辞書的な意味のようです。人間関係においては相手を「素敵だなあ」「面白いなあ」と気に入ること、そして「なんだかついつい考えてしまう」といったように自然に心引かれている状態を言うようです。
人間関係における「好き」の種類
一口に「好き」と言っても、人間関係においてはさまざまなタイプの「好き」があるのは、皆さんも実感するところですよね。そこで人間関係における「好き」には、どんな種類があるのか浅野さんに聞いてみました。心理的には、次の5つに分けられるようです。
“親密さ”を求める「好き」
相手と親密になってもっと近い関係や深い関係になりたいという気持ちがあること。親密になるとは、相手を気に入っているというだけでなく、さらに、自分自身を相手に知ってほしい、そして相手のことももっと知りたいという思いを抱いている状態を言います。
“フレンドシップ”としての「好き」
好感が持てる、もっと仲良くなって楽しみたい、楽しみを共有したいという気持ちがあること。ただし、そこまで深い、近い関係を求めているわけではなく、関係が切れない程度にたまに会えればいい、ご縁があるなら繋がっていたいというくらいの思いで、タイプAに比べると距離感が少し遠くなります。
“個人的な好み”という意味での「好き」
シンプルに自分の好みや嗜好に合っているという意味での「好き」。相手の「見た目」「考え方」「振る舞い」が好ましいといったことを指します。例えば「イケメンが好き」といったようなケースもこのタイプに該当します。
“憧れ”や“羨望”としての「好き」
人は「自分にはないものを持っている人に心引かれる」ということも起こりえます。憧れ、羨望、尊敬を抱く相手とも言え、そんな相手には強く魅力を感じる場合があります。また、心理学的には「ポジティブシャドー」と呼ばれる「絶対にあんな素敵な人になれそうにない」と思う人と出会う場合もあります。こういった人は、好きになる可能性もある一方で、劣等感を感じる相手となることもあります。
“相手に性的な魅力を感じる”という意味での「好き」
相手に対して、肉体関係を持ちたいなど身体的な接触を望むような、性的な魅力や刺激を感じることも「好き」の一つと言えるでしょう。
ちなみに、恋愛における「好き」はどれに該当するのでしょうか?5つめの“性的な魅力を感じる”ことから好きになることが多いですが、1つめの“もっと親密になりたい”や、4つめの“憧れの人に近づきたい”という気持ちのつながりを求める「好き」もありえるでしょう。
相手を「好きかわからない」ときの心理状態とは?
「好き」のタイプを見たものの、自分が抱くこの気持ちはどれに該当するんだろう?と曖昧に感じた方もいるかもしれません。しかし、浅野さんは言います。「この気持ちは本当に好きというものなのだろうか。そんな風に悩んでいる時点で、本当は気付いているのではないでしょうか?」なんともドキッとするお言葉です。「好きかどうかわからないのではなく、『好きになってはいけない』と思っているかもしれません」といった発言も。
そんな心理も含め、「好きかわからない」とは何が原因になっているのか、ひもといてみましょう。
ストレスをためやすい環境にいて普段から我慢が多い状態
普段我慢ばかりしている人は、気付かないうちに自分の感情に鈍感になっていきます。つまり、好きという感情がないわけでも、感じないわけでもなく、その感度が鈍っている状態です。このようなケースは、普段から自分の気持ちを表現できない人、表現することを周囲から批判されたり押さえ付けられたりしてきた人、周囲に合わせて生きてきた人に多く見られるパターンと言えます。
人を好きになることに抵抗感を抱きやすい状態
「好き」への抵抗感が出る代表例は「恥ずかしい」という感情を受け入れがたい場合です。誰かを好きになると急に恥ずかしさを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。そんな恥ずかしがり屋さんは「恥を感じている自分」を他人に見せたがりません。恥ずかしさを隠そうと躍起になってしまうことで、自分の気持ちを押し込める癖が付くようになる人もいます。
あらゆる物事や人を見るとき先に欠点へ目がいく状態
人だけでなく物事すべてにおいて「ネガティブな点」ばかり見てしまうという人がいます。いわば、何に対しても警戒心を抱く癖が付いている状態です。警戒すること抱くこと自体は悪いわけではありませんが、人を欠点や不都合な点から見てしまうと、好きという気持ちは盛り上がりにくく、火が付く前に次第にしぼんでしまう可能性が高くなります。
人を好きになることは迷惑・悪いことだと感じてしまう状態
人を好きになることは素晴らしいことです。ところがまれに、「私が好きになっても、相手には迷惑なのでは?」と考える人がいます。こういった人は「人を好きになることは悪いこと」と認識していることになります。なぜそう思うのかというと、「人を好きになって傷付きたくない」という心理が働いているからです。例えば、成長する過程で自分の好意や善意を大切に扱ってもらえなかった、批判ばかりされたといった経験を通して、「自分が誰かを好きになっても喜ばれない」といった悲しみや失望を抱えているということです。大きな失恋などもこのケースに当てはまります。
人に対する興味が薄い状態
自分以外の人への興味を意識的に避けて、自分の世界だけで生きることを好む人も、好きという気持ちに気付きにくいと言えるでしょう。対人関係において誰かに興味を持つことは、一つの経験であり、学びであり、そしてそれらによって磨かれる能力の一つです。人への興味は「好き」という気持ちのきっかけにもなります。だからこそ、その経験が少なければ、そもそも相手に好意を抱くことも少なくなり、いざ誰かに好意を持ったとしても、それが「好きかどうか」よくわからないのです。
「恋愛として好き」なのかわからないときの判断ポイント7選
人が好きかどうかわからないという心理には、さまざまな事情や理由があるようです。だからこそ、背景がわかったとしても、すぐには自分の中にある「好き」という感情には気付きにくいかもしれません。そんなときは次のチェックポイントを確認してみましょう。
1.相手のことを考える時間が増えている
人は気になる対象に興味を持ちます。相手のことを考えている時間が長いということは、「好き」まではいかなくても、興味を持っている場合が多いもの。そして「好きかも?」と考えるほど、相手に引かれていく可能性も高くなっていきます。
2.もっと相手と近づきたいと思う
例外はあるものの、人は興味のあるものに近づきたいと思います。ですから、気になる相手にもっと連絡したい、触れたい、そばにいたいと思うかどうかを考えてみるのも手。そう思う場合は、相手に魅力を感じている可能性が高いです。
3.一見短所のようなところも気にならない
相手の欠点を見たとしても、「かわいい」「全く問題ない」と思えるなら、相手に心引かれている証拠でしょう。
4.相手の言動に敏感になる
「別に気にしていない」と思いながらも、相手の言動に敏感になっているなら、興味がある対象なのかもしれません。一方で、苦手な上司など相手を怖い存在として捉えているだけという場合もあるので、敏感になっているからといって「好き」とは限りません。
5.相手に「良く見てもらいたい」と思う
特定の相手に「好感を持ってもらいたい」と思うなら、好きだと感じている可能性は高いです。
6.相手のことをつい目で追ってしまう
「特定の人を目で追っている=好き」という考えは行き過ぎですが、目線は興味があるものに向くのは事実。少しでも相手を目で追っているなら、少なからず興味はあるということ。その気持ちを素直に認めたとき、自分がどう感じるかで好きかどうかもわかるかもしれません。
7.相手と近づくと緊張する
近づくと緊張する=好きは直結しませんが、好きな人に近づくと緊張状態になることは実際多いもの。いつもの自分らしく振る舞えない、ついドキドキするようなら、あなたが相手に引かれている可能性は高いでしょう。
それでも判断に迷ったらトライしたい3つのこと
7つの判断ポイントで該当するものはありましたか?もし該当したものがあったとしてもピンとこないという方は、ぜひ次のようなことを試してみると、好きかそうではないか、徐々に明確になっていくかもしれません。
相手のどこを好んでいるかを考えてみる
漠然と「これって好きなのかなぁ」と考えていると余計にわからなくなってしまいます。そこで、「どこがいいと思うのか」具体的な「好き」ポイントを探ってみると、自ずと「好き」「そうでもない」という気持ちが明確になっていきます。
自分に休息を与えてからじっくり考えてみる
日々強いストレスにさらされている人、頑張り続けている人は、まずは、休暇を取るなどして心が落ち着く時間を取るのが先決。そこで改めて気になる人のことを好きかどうか考えてみましょう。
勇気を出して相手と関わってみる
遠目で見ていたときに気になっていても、実際に関わってみたら興味を失うこともあるかもしれません。会ってみたらもっと興味が湧いたという場合は、相手に魅力を感じていると言ってもいいでしょう。
相手のことが好き!告白を成功させるための4つの方法
自分の中の「好き」という気持ちに気付いたなら、できればその思いを成就させたいもの。では、もし好きな相手と付き合いたいと思う場合、どんな行動を心掛けるといいのでしょうか?心理的に良い影響を与えられるアプローチを4つご紹介します。
会う(話す)回数を増やす
心理学的には「単純接触効果」と言われるもので、人はもともと興味がなかった物事や人物に対しても、複数回会ったり、話したり、接触を繰り返すことで、興味を持つようになる心理的現象を言います。例えば、週に数回SNSでやりとりするといったようなことも含まれます。ちなみに、すべてが自分から連絡する形になってしまっても問題ありません。
普段も告白時も、「やりとりの最後」にいい印象を残す
心理の法則には、人の行動に対して、「ピーク:最も感情が動いた瞬間」や「エンド:一連の出来事が終わったとき」の記憶だけが残り、それがコミュニケーション全体の印象を決定するという「ピーク・エンドの法則」があります。これを活かしてたとえコミュニケーション中、相手の表情がさえなかったとしても、最後にはしっかり「会えてうれしい」「気持ちを聞いてくれてうれしい」といった、あなたのプラスの感情や印象を残すことを肝に銘じましょう。
ふたりだけで過ごす時間をつくる
人は恋愛していると「共犯関係」のような心理状態になることがあります。「共犯関係」とは、一緒に罪を犯すということではなく、「ふたりだけの秘密」を持つ状態のこと。「私たちの関係は特別だ」という意識を作ることでも共犯関係に似た感情が芽生えます。ちょっとしたランチや打ち合わせでいいので、ふたりきりになる時間を持ち、「あのときは楽しかったですね」などということを話せるなら、相手にも「彼女(彼)との時間は特別」と認識させることも可能になります。ただし、常に恋愛ばかりしているような相手には通じにくいので、注意が必要です。
真剣な話ができる間柄になっておく
恋愛が苦手な人ほど「なんとかいい印象を残して、相手に気に入ってもらえるように」と思い、表面的な話ばかりしてしまいがちです。しかし、相手と真剣な恋愛をしたいのであれば、お互いの自己開示、つまり真剣な話は欠かせません。人生で大切にしていることやどうありたいかなど、その人が考えていることがよくわかるほど、心理的な距離は近くなり、交際できた場合には何でも言い合える関係を築きやすくなります。特に婚活で出会う相手には、伝え合う努力をしておきたいもの。もし相手が深い話に乗ってこないなら、まだ真剣な関係になりたくないというサインかもしれません。
好きな人ができることで、人はもっと魅力的になるはず
好きな人ができるということは、「自分から大切にしたいと思える対象」ができるということ。「自分から誰かを大切にしたいと思えることは、自分自身にとてもいい影響を与えます」と浅野さん。大切にしたいと思える自分を誇らしく思えることで、自分自身を好きになれたり、物事の見方や考え方が成熟していったりというメリットがあるそうです。「あの人が好きかも」と思ったら、その気持ちをぜひ大切にしてくださいね。
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取材・文/小松ななえ
【監修】
浅野寿和さん
カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー。20代に苦難を心理学で乗り越えた経験から、カウンセラーへ転身。年間400件以上の面談カウンセリングを行う現場主義の実践派。「なりたい自分になれる」カウンセリングに定評があり、予約が取りにくい人気カウンセラーとして活躍。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
オフィシャルサイト:https://www.asanohisao.jp
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